松本市にある白骨温泉は、市内の西側に広がる北アルプス・乗鞍岳の山麓にある。いつ湧出したのか、誰か開湯したのかは定かではないが、鎌倉時代に北陸地方と幕府を結ぶ最短コース「鎌倉往還(おうかん)」が開かれた際にはあったとされ、600年以上の歴史を持つと言われている。
白骨温泉というと、乳白色のイメージを持っている人も多いかもしれないが、実際には、透明な湯と白濁した湯がある。これは、湧き出した時には透明だが、時間が経つと白くなるため。この現象は、温泉中に含まれる硫化水素(硫黄分)とカルシウム成分が、空気に触れることによって白濁して起こる。
乳白色のお湯と、硫黄の香り。炭酸成分が多く含まれるため、なめらかな肌触り。視覚、嗅覚、触覚で温泉らしさを存分に感じられる。
飲泉もでき、消化器系の臓器の血流が良くなり、神経性ストレスにも効果があると言われている。古来「3日入れば、3年風邪をひかない」とも伝えられ、湯治場として歌人・若山牧水が何度も足を運んだという紀行文も残っている。
そんな白骨温泉のなかでも、「煤香庵」は日帰り入浴と食事を楽しめる施設。予約は不要なので、上高地や乗鞍へ足を延ばした際にも気軽に立ち寄れる。
築250年という建物は、懐かしさを感じる民芸調の造りでくつろげる空間。
食事は温泉のお湯を使った温泉粥や温泉卵、ニジマスの甘露煮が付いた「湯の花膳」、ひしゃく型のとうじかごに蕎麦を入れて温めて食べる郷土食「とうじ蕎麦」など、この地ならではの味覚を楽しめる。
温泉は男女別の露天風呂のみだが、ゆっくりお湯に浸かって、目の前に広がる雄大な自然を感じてほしい。
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