日本百名山のひとつである北アルプス・乗鞍岳。最高峰の剣ヶ峰(3,026m)をはじめとする23の峰々の総称で、麓に広大な裾野が広がる。東側に広がる平原が「中部山岳国立公園」の南端に位置する乗鞍高原だ。
乗鞍岳から流れる川や滝、池が数多く点在し、乗鞍岳の北側に位置する上高地に比べて観光客が少ないエリア。そのため、大自然のなかをのんびりと散策できるうえ、名所のひとつである「三本滝」まではマイカーで訪れることができる。
なかでも標高約1,600mに位置するのが、水面に乗鞍岳が逆さまに映り込む“逆さ乗鞍岳”のビュースポットで知られる「牛留池(うしどめいけ)」だ。
活火山である乗鞍岳の噴火でできた溶岩台地のくぼ地に水が溜まってできた池で、オオシラビソの原生林に囲まれた幻想的な雰囲気が漂う。
マイカーの場合は、乗鞍高原の中心地である「乗鞍観光センター」からエコーラインを約10分走った道沿いのホテル「休暇村 乗鞍高原」の向かいの駐車場を利用しよう。
バスの場合は「休暇村」バス停を下車。いずれも「休暇村 乗鞍高原」の脇から続く整備された遊歩道を進む。
起伏の少ないゆるやかなコースで、木道のスロープになっており、車椅子でも進める設計となっている。森林浴が楽しめ、植物や野鳥観察にも適した環境だ。
5分ほど歩くと「牛留池」が見えてくる。東岸の展望台から広がるのは、乗鞍岳の最高峰・剣ヶ峰をはじめとする峰々の絶景! 東屋があるので、ゆっくりと休憩をしながら風景を楽しみたい。
また、牛留池はルリイトトンボなどの高山トンボやモリアオガエル、サンショウウオなど珍しい生物の生息地でもあり、夏にはトンボが舞う姿や、樹木の枝に垂れ下がるモリアオガエルの卵塊などが見られることも。コロコロと軽やかに鳴くモリアオガエルの声も楽しめる。
春にはミツガシワやミズバショウの群生も。
さらに、乗鞍高原は県内屈指の紅葉スポットでもあり、秋も美しい。紅葉の見頃は例年10月中旬から下旬。晴れた日には冠雪の乗鞍岳と紅葉を一度に楽しめるとあって、多くのカメラマンが訪れている。
池の周遊は、整備された木道を歩いて15分ほど。展望台近くには、不思議な形に成長した「根曲がり松」も見られる。このような形になった理由はわからないというから驚きだ。
「牛留池」から、乗鞍高原にある3つの名瀑のひとつ「善五郎の滝」へは、シラカバやダケカンバ、ブナやミズナラなどの森が広がる「ふたりの径」とよばれるトレイルを歩いて約30分。
およそ4万3000年前頃、乗鞍岳の火山によってできたと言われる、落差21.5m、幅8mの見事な滝の景観が楽しめる。
滝の上方「滝見台」からは、善五郎の滝の上に乗鞍岳を望める。
ほかにも、乗鞍高原には1~2時間で歩いて回れる気軽な散策コースが整備されているため、新緑や紅葉を満喫するにはもってこいだ。
なお「牛留池」の名前の由来は、かつてこの一帯で牛の放牧がされていた頃、この池に牛たちが溜まっていたからだとか。
昔の牛たちのように、日々の喧騒を忘れ、北アルプスの雄大な自然をゆったりと味わいたい。
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