奈良時代の開湯とされる、歴史ある温泉地・野沢温泉。
13の外湯(共同浴場)が点在する温泉街には昔ながらの風情が漂い、多くの名所・旧跡も広がる。
この外湯や名所・旧跡に設置されている集印所でスタンプラリーのように印を集めるのが「集印めぐり」。温泉街を楽しく散策しながら、野沢温泉村の文化や歴史を知ることができると好評だ。
しかも、全27カ所ある集印所のうち、10カ所以上で集印をすると、「太陽の塔」などで知られる世界的な芸術家・岡本太郎氏による「湯」の文字が書かれたオリジナルタオルがもらえる。
さらに、20カ所で集印をすると、この「湯」タオルか「集印めぐり手ぬぐい」のどちらかをゲットできるのだ。いずれも「集印めぐり」の参加者しかもらえない非売品。旅の思い出の品としてもぴったりだ。
「集印めぐり」をする上で必要となるのが「集印帳(462円)」。普通紙とカーボン紙が1組になった専用紙が綴られているもので、「野沢温泉観光案内所」や村内の土産屋などで販売されている。
集印の方法は、インクによるスタンプではなく“こすりだし”方式によるもの。まずは「集印めぐり」と書かれた台の上の金属板に、該当する集印所名が書かれた1組の紙を、水色の紙が上に来るように当ててみよう。据えられているすりこぎ棒でこすると、台に掘られた凹凸の絵が浮び上がってくる。
各集印所に金属板とすりこぎ棒が付いている集印帳の表紙の裏にも「拓印の方法」が書かれていてわかりやすいこすると、観光名所の説明書きの上に版画のように拓印されるポイントは動かないように片手でしっかりと固定し、なぞるようにこすること。野沢温泉観光案内所の入口にも集印所があるので、集印帳後半の予備ページで練習をするのもおすすめだ。
あとは好きな順番で「集印めぐり」をはじめればOK。観光案内所のすぐ隣にある「シュナイダー広場」にも集印所があるので、まずはここで集印するのがよいだろう。
なお、集印帳の巻末に地図があるが、わかりづらい場所があるので要注意。特に「薬王山健命寺」の境内にある19番の「野沢菜発祥の碑」と20番の「あけび蔓細工はとぐるま」、「民宿湯沢」の裏にある21番の「道祖神まつり」は見つけづらいので、根気よく探そう。
20番の「あけび蔓細工はとぐるま」。境内の中の石碑が目印22番の「道祖神」も「さかきや旅館」の敷地内の少し奥まった場所に位置していて見逃しやすい温泉街は坂が多く、地図上では近くに見えてもかなり歩いたり、急坂を上ったりと予想以上の苦労も。道も細いうえに駐車場もないため、車での移動は困難だ。
集印帳に期限はないので、訪れるたび少しずつ集めるのもよい。27カ所コンプリートしたときの達成感は格別だ。
ところで、そもそも記念品の「湯」タオルに通じる岡本太郎氏と野沢温泉村との縁だが、1974年までさかのぼる。
当時、野沢温泉村の姉妹村であるオーストリアのサン・アントンから贈られた「ハンネス・シュナイダー」のブロンズ像を建立するにあたり、土台のデザインを村から岡本氏に依頼したことがはじまりだ。
以来、岡本氏は野沢温泉村の独特の文化に惹かれ、冬のスキーや伝統行事「道祖神祭り」にも熱中。毎年訪れていたという。村民とも交流を深め、「道祖神祭り」に参加する家を訪ねて書を記すこともあったとか。
こうして、1991年には岡本氏が野沢温泉村初の名誉村民に。村内には野沢温泉村役場前に設置されている「野沢の乙女」像のほか、「おぼろ月夜の館 斑山文庫」にある「湯」、「遊」、「火祭り」の書などなど、複数の岡本氏の芸術作品と出会える。
また、「湯」の書は野沢温泉の観光宣伝のイメージロゴとして使われ、ポスターやパンフレット以外にも、街なかの案内板などあちこちで見かけることができる。この躍動感あふれる字は、野沢温泉村をこよなく愛した岡本氏が、こんこんと湧き出る温泉をイメージして書いたものだそう。
「集印めぐり」とともに、村内に点在する岡本氏の作品めぐりも合わせて楽しみたい。
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